血管内治療センター

《血管撮影装置》更新のお知らせ

当院では既存の血管撮影装置の更新に伴い、フィリップス社製最新型バイプレーン(2管球)血管撮影装置「Allura Clarity FD20/15」を導入しました。

血管内治療センターを有する当院は、多くの症例に対して血管内治療を行っており、その範囲は“頭の先からつま先まで”全身に渡ります。新装置の導入により、当院の血管内治療の質を向上させるだけでなく、より安心で安全な医療を患者さんに提供することが可能となります。また、最新機器の導入は地域医療の発展にも寄与できると確信しています。

今後も、“頭の先からつま先まで血管内治療ができる病院”として、地域医療に貢献できる病院を目指します。

導入された【Allura Clarity FD20/15】

導入された【Allura Clarity FD20/15】

Allura Clarityの大きな特長

  • 画質を損なうことなく少ないⅩ線量で検査を行うことができ、患者さんや術者の被ばくを最大75%(フィリップス社製従来型装置と比較して)減らすことができる。
  • 2方向を同時に撮影できるため、使用する造影剤の量を減らすことができ、検査時間も短縮できる。
  • フラットパネルディテクタの解像度が従来型装置と比較して4倍高いため、より質の高い画像を提供することができる。
  • 回転DSA、コーンビームCT、各種解析ソフト等の最先端の治療に対応する機能を有している。

当院で実施している主な血管内治療

当院で実施している主な血管内治療

血管内治療とは

CTや血管造影などの画像をガイド役として血管内にカテーテルという細い管を入れ、メスを用いずに行う患者様の身体的負担の少ない治療法です。

カテーテルは足の付け根や肘の内側や手首の血管から挿入し大動脈を通して、主に脳や心臓・肝臓などの病気に対して行われますが、全身の血管の病気に対して施術することが可能となっています。

皮膚を切ったり頭蓋骨を割ったりせずに治療ができるので、患者への身体的負担が少ないことから、1990年代以降急速に広まってきました。またカテーテルなどの道具や技術進歩も背景にあります。

メリット

血管内治療は体を大きく切開せずに低侵襲な治療がおこなえるため、数日で退院できることが大きなメリットです。しかし、血管内治療をおこなう際には、造影剤の使用や放射線被ばくといったデメリットもあります。

また、がんに対する血管内治療では、使用する抗がん剤などの薬剤はごく少量ですむ、痛みが少ない、治療のための傷跡がほぼ残らないなどのメリットもあります

放射線科

当院放射線科では血管内治療(IVR)として現在、悪性腫瘍に対する抗癌剤の動注療法やCVカテーテル・ポート造設術を主に行っております。このほか内視鏡で止血困難な消化管出血や骨盤骨折などの外傷対する出血、結核などによる大量喀血、産婦人科における子癇などの大量出血に対して血管内治療による緊急止血を行っております。治療においては日本IVR学会認定専門医が指導・実施しております。
悪性腫瘍の動注療法としては原発性肝癌に対する治療が代表的なもので、抗癌剤の動注後にゼラチンやビーズ(プラスチック球)を用いて腫瘍血管を閉塞する治療法が一般的に行われています。当院では最新の血管撮影装置を用いてできる限り正常部分を温存して治療しております。
CVカテーテル・ポート造設は療養型病院や在宅医療に移る際に摂食困難症例や点滴の際の血管確保が困難な症例に対して今後適応が増加すると思われます。当院では病診連携室を通じて随時CVカテーテル・ポート造設を受け付けております。
緊急止血のIVRについては日中だけでなく、夜間・休日もオンコール体制で対応しております。
このほか血管内治療全般についての相談や質問についても随時対応いたしますのでお電話ください。

HCCに対するTACE(動注塞栓療法)

TACE前の造影
HCCの濃染を認める

TACE前の造影
HCCの濃染を認める

TACE後のHCCへの
リピオドールの集積(+)

TACE後のHCCへの
リピオドールの集積(+)

TACE後の造影
HCCの濃染消失

TACE後の造影
HCCの濃染消失

骨盤骨骨折による出血に対する塞栓術

矢印部分に出血による造影剤の溜まりを認める

矢印部分に出血による造影剤の溜まりを認める

塞栓術後の造影で出血が消失している

塞栓術後の造影で出血が消失している

脳神経外科

カテーテルを用いて病変にアプローチする脳血管内治療は低侵襲な治療法として急速に発展してきました。脳神経外科領域では、脳動脈瘤のコイル塞栓術、主幹動脈狭窄症に対する血管拡張術やステント留置術、脳動静脈奇形に対する液体塞栓物質を用いた塞栓術、脳梗塞に対する急性再開通療法などがあります。脳血管内治療は本来直達手術が困難な場合や他の治療法の補助的な治療として導入されてきたものですが、治療成績の目覚ましい向上に伴い直達手術に並ぶ標準的治療として確立され、その適応を広げつつあります。  当院では、脳動脈瘤に対し開頭術によるクリッピングだけでなく、コイルを用いた塞栓術も積極的に導入しており、それぞれの患者さんに最適な治療を提供しています。 また、急性期脳梗塞に対しては24時間体制で対応しており、他施設からの緊急症例も積極的に受け入れています。
脳血管内治療は手術手技だけでなく、病変へ到達するためのカテーテルやガイドワイヤー、コイルやステントなどのデバイスの開発、これらを用いた操作をX線透視下で行うための血管撮影装置の進歩が大きく寄与しています。当院に導入された最新型の血管撮影装置により、さらなる治療成績の向上が期待されます。

脳動脈瘤に対するコイル塞栓術

左内頚動脈未破裂動脈瘤(図1)。離脱式コイルを誘導し(図2)、合計278cm使用し完全閉塞が得られている(図3)。

図1

図1

図2

図2

図3

図3

脳梗塞に対する急性再開通療法術

左中大脳動脈閉塞に対しステントリトリーバーによる血栓回収術を施行(図4:術前、図5:術後)。血栓は回収(図6)され完全な再開通が得られている。

図4

図4

図5

図5

図6

図6

循環器科

循環器科では胸部領域に代表される心臓の血管治療と、四肢領域、特に下肢の血管治療についてご説明いたします。

冠動脈インターベンション

この新アンギオ装置「Allura Clarity FD 20/15」の導入により、より正確で迅速な診断治療が可能になりました。これまでも、多方向からの撮影は必須なので行ってきましたが、管球を動かす手間や造影剤の節約等から十分ではなかったことも否めません。しかし、常に2方向から確認することができるようになり、病変の見逃しを無くし造影剤を減量することができ、診断治療の幅が広がりました。特に、冠動脈インターベンションでは難しいと言われる完全閉塞病変においては、その威力が遺憾なく発揮されます。

症例:68歳男性、狭心症患者。旧アンギオ装置ではよく分からなかった細かい血管の走行が明らかになった。この症例は新アンギオ装置で再度インターベンションを行い成功した。

図1

旧アンギオ装置の画像

旧アンギオ装置の画像

新アンギオ装置の画像

新アンギオ装置の画像

下肢血管インターベンション

下肢血管のインターベンションにおけるメリットは、鮮明な画像が得られるようになったこともさることながら、Allura Clarity FD 20/15の導入による最も大きな恩恵は被ばく量の低減です。もちろん患者様の被ばくも問題ですが、年間250件以上の治療における術者の被ばくも深刻です。手技の性格上、どうしても術者が管球の近くに立たなければならなかったり、手が写りこんだりすることがあるのですが、この機器の導入で少しでも被ばく量を減らし、より複雑で困難な症例にもチャレンジできようになります。

症例:60歳男性の透析患者。左膝下動脈の閉塞に対して血管形成を行い成功した。末梢の微細な血管まで鮮明に描出できている。

図2

治療前

治療前

治療後

治療後

末梢血管の描出

末梢血管の描出

診療予約について

血管内治療センターは予約診療です。
お電話またはFAXにて診療日・診療時間をご予約下さい。

予約専用電話番号:03-3742-7532
予約専用FAX:03-3742-7170

※ご不明な点やご希望内容はご予約時にお申し付け下さい。

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