当院における経鼻内視鏡検査の現状

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消化器科

ご挨拶

東京労災病院消化器内科
児島辰也

2006年に内視鏡を導入して以来、苦痛の少ない内視鏡検査という評判が広がって希望される方が多くなり、最近では2~3週間の予約待ちという状態です。これまでに約5600件施行しました。
このうち、2006年8月末より2007年4月までの成績を一部ご紹介申し上げます。

I.アンケート調査

1.「今日の検査は苦しかったですか」

経口内視鏡検査と経鼻内視鏡検査アンケート結果1

苦痛を訴えたのは、経口内視鏡検査でおおよそ3人に2人であったのに対し、経鼻内視鏡検査では3人に1人でした。さらに、苦痛の度合いも経鼻の方が軽度でした。また、2度と受けたくないは経口8.2%に対し、経鼻1.6%でした。

2.「今度検査を受けるとしたら、どの方法がいいですか?」

経口内視鏡検査と経鼻内視鏡検査アンケート結果2

経口内視鏡検査を受けた場合、次回も経口を希望したのは32.2%、絶対に受けたくないは5.3%でした。これに対して経鼻内視鏡検査では次回も経鼻を希望したのは78.3%で、絶対に受けたくないはわずかに1.0%に過ぎませんでした。

以上のように経鼻内視鏡検査は経口内視鏡検査に比べて被験者の受容度が高いため、今後早期がん発見率の向上が期待できます。

II.早期胃がん発見率

経口内視鏡検査 8/1380(0.6%)
経鼻内視鏡検査 2/1076(0.2%)

早期胃がんの発見率は経口内視鏡検査の方が高いという結果でしたが、統計学的には有意差はありませんでした。
今後さらに症例を重ね検討する予定です。

経鼻内視鏡検査で発見した早期胃がん症例

症例1
経鼻内視鏡検査で最初に発見した胃角部前壁のⅡc 症例です。
右はその後に行った同一症例の経口内視鏡像です。
経口の方が画質は良好ですが、がんの診断は経鼻でも十分可能です。

経鼻内視鏡検査で発見した早期胃がん症例

III.経鼻内視鏡検査の利点

食道がん症例
中部食道にほぼ全周性の強い狭窄が見られましたが、経鼻内視鏡は細径のため肛側へ容易に挿入できました。

食道がん症例

IV.経鼻内視鏡の挿入率

挿入率

  • 96.8% (36 / 1130 例)
  • 前期(H18.8~H19.1) 96.4%(26 / 719)
  • 後期(H19.2~H19.4) 97.6%(10 / 411)
  • 挿入不能例:36 例(男性11 例、女性25 例)

V.検査時間

経口内視鏡検査:平均4 分03 秒(2 分33 秒~6 分18 秒)
経鼻内視鏡検査:平均5 分59 秒(4 分41 秒~8 分25 秒)

(同一検者、各50 例、胃切除例、生検施行例は除外)

経鼻内視鏡検査の方が検査時間が長くかかりましたが、苦痛が少ないため被験者からの不満は聞かれませんでした。

VI.経鼻内視鏡検査の偶発症

鼻出血:5 / 1076 例(0.5%)

偶発症は軽度の鼻出血のみで、安全に施行できました。

VII.検査件数

経鼻内視鏡導入後、1ヶ月あたりの検査件数が常に300件を超えるようになりました。

検査件数

現時点における経鼻内視鏡検査の適応としては、(1)スクリーニング、(2)確定診断後の経過観察、(3)開口障害、(4)食道・幽門狭窄、(5)PEG造設、交換、(6)イレウス管挿入等があります。

一方、精密検査や内視鏡的治療は経口内視鏡検査が適応になりますが、今後機器や処置具の改良が行われることにより、経鼻内視鏡検査の適応はますます拡大するものと考えられます。

被験者にやさしく、安全に行える経鼻内視鏡検査を先生方の患者さんにもご紹介頂ければ幸いです。

また、当院の上部内視鏡検査は電話予約できますし、お急ぎの時には可能な限り対応させていただきますので、医療連携室(03-3742-7314)までご連絡下さい。

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