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10)脳卒中の治療・予防

急性期治療

脳卒中は急性期治療が重要で、地域ごとの救急搬送システムや治療可能な受け入れ病院が整備されています。
脳梗塞に対する血栓溶解療法、再開通療法、脳出血に対する血腫除去術、くも膜下出血に対する脳動脈瘤クリッピング術、コイル塞栓術などが行われます。手術にならないことも多く、点滴治療やリハビリテーションが行われます。
脳卒中では発症した原因検索が重要です。脳梗塞では動脈硬化や不整脈による血栓が原因となっていることが多く、抗血栓薬による治療を続けます。高血圧や糖尿病のある場合は再発リスクも大きくなるため、内科的な治療が重要です。
内頚動脈が狭窄している場合は頚動脈内膜剥離術や頚動脈ステント留置術を行い、脳血流を改善させ脳梗塞を予防します。また、くも膜下出血を起こしやすい部位や大きさの脳動脈瘤が見つかった場合は治療の検討が必要です。

未破裂脳動脈瘤

脳ドックや頭痛の検査などで脳動脈瘤がみつかることがあります。小さい脳動脈瘤は破裂のリスクが少なくそのまま経過観察することになりますが、発生部位や大きさでは手術を検討する脳動脈瘤もあります。以下の脳動脈瘤は手術の検討が必要です。
①     大きさ5~7mm以上
②     5mm未満でも前交通動脈瘤、内頚動脈後交通動脈瘤
③     症状のある脳動脈瘤
④     形が不整(細長い、ブレブという小さいふくらみがある等)
ほかにも、年齢、全身状態、家族歴、動脈瘤の数など総合的に判断し治療適応を決定します。治療しない場合も半年から1年おきにMRIなどでの検査を行います。
脳動脈瘤の治療には開頭手術とカテーテル手術がありますが、動脈瘤の部位や形状、根治性などを考慮しより確実な手術法を選択します。喫煙は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の危険因子であり、脳動脈瘤がみつかったら必ず禁煙してください。

無症候性脳梗塞

特に症状がなくともMRIなどで脳梗塞がみつかることがあります。無症候性脳梗塞といいます。多くが脳深部のラクナ梗塞ですが、将来的に脳卒中や認知症を起こすリスクが高くなります。高血圧や心房細動、糖尿病があると無症候性脳梗塞を生じやすくなります。高血圧、心房細動、糖尿病などを治療しておくことが脳卒中予防には重要です。

脳卒中の予防

肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症に対する治療が重要です。普段から食事に気を配り、定期的な運動を続けることが脳卒中や心血管疾患、がんの発症予防につながります。喫煙も動脈硬化や不整脈を悪化させ脳卒中の危険因子となります。受動喫煙も脳卒中の危険因子です。電子タバコも安全ではありません。