消化器外科

体制

『患者さんに最良の医療』をモットーに、日本外科学会、日本消化器外科学会等の専門医・指導医資格を持つスタッフを中心に診療にあたっています。
各種ガイドラインで推奨された標準治療を遵守し、患者さん・ご家族の希望を尊重し、身体への負担が少なく効果の高い治療を目指しています。

特色

1. 腹腔鏡手術

当科では、身体への侵襲が少ない腹腔鏡手術を積極的に導入しており、2021年度は全手術のほぼ半数が腹腔鏡手術でした。
特に、胃手術では71%、大腸手術では63%、肝胆膵手術では77%の患者さんが腹腔鏡による手術を受けています。

■手術風景 胃・大腸に対する腹腔鏡手術

・胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術

胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術

食道空腸吻合(overlap法)場面

・胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術

胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術

残胃十二指腸デルタ吻合場面

・上行結腸癌に対する腹腔鏡下右半結腸切除術

胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術

リンパ節郭清開始時

胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術

リンパ節郭清後

・直腸癌に対する腹腔鏡下低位前方切除術

胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術

手術開始時

胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術

直腸吻合場面

症例数の多いヘルニア手術では、32%の患者さんが腹腔鏡下手術(TAPP)を受け、数日の入院で退院されています。特に本年度(2022年7月1日現在)は、鼠径ヘルニアの患者さんの74%でTAPP手術が行われています。

■手術風景 ヘルニアに対する腹腔鏡手術

・鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術(TAPP法)

鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術(TAPP法)

修復前

鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術(TAPP法)

メッシュによる修復後

2. 高難度手術(膵がん、肝がん、胆管がん手術など)

膵がんや胆管がんに対して行われる高難度手術の一つである膵頭十二指腸切除術を、根治性を損なわず合理的に行うために腸回転解除法1)2)を採用するなど、高難度手術を安全に行っています。

腸回転解除法の図

腸回転解除法の図

鼠腸回転解除法の図

1. 杉山政則、他:腸回転解除法を用いた膵頭十二指腸切除術. 消外39:1471-1483、2016

2. Sugiyama M、et al:Intestinal derotation procedure for facilitating pancreatoduodenectomy. Surgery 159:1325-1332、2016

■手術風景 膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術、門脈合併切除再建

上腸間膜動静脈のテーピング

上腸間膜動静脈のテーピング

門脈再建後の風景

門脈再建後の風景

3. 化学療法や放射線治療を組み合わせたより効果的な治療

進行したがんに対して手術のみならず化学療法や放射線治療を組み合わせたより効果的な治療を提供しています。

例 直腸がんに対する術前化学放射線療法(CRT)

進行直腸がんに対して根治性と合併症の軽減目的に術前化学放射線療法(CRT)を導入しています。
従来、直腸がんに広く行われている側方リンパ節郭清は、排尿・排便・性機能(射精や勃起(ぼっき)など)にかかわる自律神経系を損傷しやすく、ひとたび損傷すると重い合併症(排尿障害・排便障害・射精障害・勃起障害など)がおこることが知られています。また、直腸がんは結腸がんと比べて局所再発のリスクが高く、手術前に抗がん剤による化学療法と放射線照射を行うことで、見えないがん細胞を攻撃し、側方リンパ節郭清と同等の効果が得られることから、今日では側方リンパ節郭清を省略できることがわかっています。
当科では積極的に術前化学放射線療法(CRT)を行い、手術では骨盤内臓器にかかわる神経を損なわずに高い根治率を目指しています。

CRT前(緑の矢印が癌)

CRT前(緑の矢印が癌)

CRT後(癌がほぼ消失)

CRT後(癌がほぼ消失)

*術前化学放射線治療により主病巣が劇的に縮小しています。

例 再発肝臓がんに対する放射線治療

肝臓がん治療において、肝切除は最も治療効果が高い治療方法ですが、何度も再発していたり肝機能が低下している場合には肝切除が受けられないことがあります。この場合、放射線治療はラジオ波焼灼治療や肝動脈化学塞栓療法に並ぶ治療法の一つになります。

*下記は、当科で肝がんに対し3回肝切除を行い、4回目の再発に対しラジオ波焼灼術を行い、5回目の再発肝がんに対し放射線治療を行った症例です。

放射線治療前(緑の矢印が癌)

放射線治療前(緑の矢印が癌)

放射線治療4ヶ月後(ほぼ消失)

放射線治療4ヶ月後(ほぼ消失)

*放射線治療により再発癌病巣が画像上ほとんど消失しています。

診療実績

2021年手術件数

手術件数 腹腔鏡手術件数
(再掲)
17件 12件 (71%)
大腸・直腸 54件 34件 (63%)
肝胆膵 48件 37件 (77%)
小腸 17件 2件 (12%)
虫垂 28件 26件 (93%)
ヘルニア 40件 11件 (28%)
その他 25件 3件 (12%)
合計 229件 115件 (50%)

スタッフ紹介

名前 小林 隆(こばやし たかし)
職名 外科部長 消化器外科部長
学歴等 平成4年東京大学卒 医学博士
指導医 日本外科学会
日本消化器外科学会
日本肝胆膵外科学会
専門医 日本外科学会
日本消化器外科学会
認定医 日本外科学会
消化器がん外科治療認定医
評議員 日本臨床外科学会
日本肝胆膵外科学会
その他 インフェクションコントロールドクター(ICD)
専門分野 消化器外科(特に肝胆膵)
名前 神山 博彦(かみやま ひろひこ)
職名 第二消化器外科部長
学歴等 平成11年順天堂大学卒 
医学博士
指導医 日本外科学会
日本消化器外科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本大腸肛門病学会
専門医 日本外科学会
日本消化器外科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本大腸肛門病学会
認定医 日本外科学会
がん治療認定医機構がん治療認定医
消化器がん外科治療認定医
腹部救急認定医
評議員 日本臨床外科学会
日本大腸肛門病学会
専門分野 消化器外科(特に消化管)
名前 秀野 泰隆(しゅうの やすたか)
職名 第三消化器外科部長
学歴等 平成13年帝京大学卒
医学博士(東京大学大学院)
指導医 日本外科学会
専門医 日本外科学会
日本消化器外科学会
日本消化器内視鏡学会
日本消化管学会胃腸科
認定医 日本外科学会
消化器がん外科治療認定医
専門分野 消化器外科(特に消化管)
名前 野原 茂男(のはら しげお)
職名 消化器外科副部長
学歴等 平成16年順天堂大学卒
医学博士
専門医 日本外科学会、
日本消化器外科学会
認定医 日本外科学会、
日本消化器外科学会
その他 日本外傷診療研究機構JATECコース修了
名前 安城 芳紀(あじろ よしのり)
職名 消化器外科医師
学歴等 平成25年東北大学卒
認定医 日本外科学会
専門分野 消化器外科(特に肝胆膵)

(令和5年2月1日現在)

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