膝関節・スポーツ外来

当外来ではスポーツ活動や事故などで生じた靭帯・半月板損傷や経年的な軟骨の摩耗に伴う変形性膝関節症などに対する治療を中心に対応し、最善の治療選択を検討していきます。
再生医療のご相談も可能です。

診療をおこなう代表的疾患

前十字靭帯損傷

病態

スポーツ中の損傷が多く、急激な方向転換やジャンプ後の着地などによって損傷します。受傷時には断裂音や膝が外れた感じを自覚する事が多く、徐々に関節内の出血により膝が腫れて曲りが悪くなることが特徴の一つです。急性期を過ぎると痛みと腫れが軽減しますが、関節の不安定性が残存し、膝がガクッと外れるような“膝くずれ”が起きるようになります。

治療

損傷した前十字靱帯を自然に修復することは困難で、スポーツ活動や日常生活動作で“弛さ”を感じたり“膝くずれ”を起こしてしまった場合、靭帯の再建手術を行うことが望ましいです。しかし、早期のスポーツ復帰をご希望される場合を除き、急ぐ必要はなく、御自身の都合に合わせて手術時期を決定します。再建手術は、自身の膝屈筋腱(ハムストリングス)あるいは膝蓋腱の一部を用い関節鏡視下で行います、皮膚切開は1cm程度が3か所と4cm程度が一か所で、大きな合併症もなく、成績も安定しているため、有効な治療方法として確立されています。

再建靭帯の関節鏡視像術後X線像

前十字靭帯再建術(ACL再建術)で数多くのアスリートが復帰し、怪我の前と同様に活躍しています。入院は約1週間で、退院後も当院にて術後リハビリテーションが可能です。また、学校や仕事などの都合で通院リハビリができない場合にはお渡しするリハビリノートを参考に、ご家庭や近くのジムで、自身でリハビリを行うことも可能です。術後6~9か月でスポーツ復帰が可能となります。

半月板損傷

病態

半月板は膝にかかる荷重を分散する機能を持ち、損傷した場合には関節を動かす時や体重をかけた時に特に強く痛みを感じます。膝の中で物が引っかかるような感覚や、音が鳴ったり、膝がずれるような違和感が起こる場合もあります。

治療

損傷部の関節鏡視像

部位や程度により自然治癒も期待できるので、まずは保存的治療を行うケースが多いです。しかし、重度の損傷やひっかかり症状が強い場合は、手術を検討する必要が生じます。手術の方法としては、まず、関節鏡にて半月板の損傷の程度を確認し、縫合できる状態であれば半月板縫合術を行います。縫合ができない場合には、傷んだ部分のみを最小限に切除する部分切除術を行います。傷は1cm程度のものが2-3か所残る程度です。

膝蓋骨脱臼

病態

膝関節のお皿(膝蓋骨:しつがいこつ)が、関節からはずれてしまう(脱臼)疾患です。ジャンプの着地などの時にはずれることが多く、強い痛みや腫れを生じます。脱臼は自然に整復されることもありますが、整復されないときは病院での整復が必要です。10歳代の女性に多く、初めて脱臼した後に繰り返して脱臼することも多く、日常生活やスポーツに制限がある場合や脱臼時に大きな骨折を伴っている場合は手術が必要となることがあります。

治療

手術加療としてはMPFL (内側膝蓋大腿靱帯)再建術という自分の膝屈筋腱(ハムストリングス)の一部を用い、膝蓋骨を外側に脱臼しないようにとめるバンドを作り、膝蓋骨と大腿骨をつないでいる内側の靭帯を再建手術を行います。適応は広く、良好な成績を挙げています。また、病態や素因に応じて、膝蓋骨外側の靱帯を切る手術や膝蓋腱という膝蓋骨から下腿の骨についている腱の向きを変える手術等を同時に行うこともあります。

大腿骨内顆骨壊死

病態

大腿骨内顆骨壊死(特発性大腿骨顆部骨壊死症)は中高年の女性に多くみられる膝の病気で、主に体重のかかる大腿骨の内側に生じます。原因や病態が完全に解明されておらず、発症時は膝の激痛を伴いますが、 発症後1~2カ月はX線で変化がみられず、変形性膝関節症と区別できないことも多いです。

治療

壊死の大きさ、患者さんの症状、年齢などを総合的に判断して治療を選択します。壊死範囲が小さい例では自然に痛みが軽快することもあり、主に保存療法が選択されます。壊死を起こしているからと、いきなり手術を行う必要はありませんが、病期が進行してしまうと人工関節手術が必要となることもあります。早期発見した時点で有効な治療をすれば、病期進行を食い止めたり、壊死した部位を修復して人工関節手術を回避することが期待できます。

膝蓋骨骨折

病態

中高年者に多く、転倒などにより膝のお皿(膝蓋骨)を強打することで、骨折を起こします。

治療

我々はこの膝蓋骨骨折に対し最小侵襲手術を行っています。
一般的に行われる術式としては通常金属を用いた固定方法を用いることが多いですが、金属による手術は傷が約10cm程度と大きく、また金属を抜去する手術(抜釘)が必要です。
我々は金属を使用せず、強固な糸(ストロングスーチャー)を用いた方法を関節鏡下に最小侵襲で行っています。この方法は1cm程度の傷が3か所程度とであり抜釘手術も不要です。

膝蓋骨骨折

変形性膝関節症

病態

変形性膝関節症は軟骨摩耗や骨の変形を伴う疾患で、長寿化にともなって増加の一途をたどっています。ゆっくりと進行し膝の痛みや可動域制限を伴い、症状や程度の幅が広く、どのような治療法を選択するかを患者さん一人ひとりが望むゴールによって選択していく必要があります。

治療

まずは一般的な保存療法を行い、それでも痛みが強く残る場合には手術による治療を検討します。

人工関節置換術

人工関節全置換術・人工関節単顆置換術

進行した変形性膝関節症には人工膝関節置換術を行う事が多く、手術成績も良く、安定した手術です。末期の患者さんには関節全体を置換する「全置換術 Total Knee Arthroplasty:TKA」を選択し、変形が限定的な場合は「単顆置換術 Unicompartmental Knee Arthroplasty:TKA 」を選択することがあります。

高位脛骨骨切り術(high tibial osteotomy:HTO)

高位脛骨骨切り術

人工関節手術はスポーツや重労働などの活動量の高い動きには適さないため、患者さんの御年齢が若い場合や、スポーツ活動への復帰を目指す場合には、御自身の関節を温存する高位脛骨骨切り手術が有効です。大腿骨内側顆部骨壊死症の方にも行うことのできる手術です。この手術は、O脚に変形し、内側に荷重がかかり強い痛みが起こるようになった膝をを矯正し、正常な軟骨が残っている外側の関節に荷重分散させる手術です。手術後は、自分自身の関節が温存されるため、正座が可能であったり、スポーツや重労働にも耐えられます。

関節鏡手術

なるべく侵襲の少ない手術を希望される場合は関節鏡下に損傷部分の修復や疼痛の原因となる部分の切除を行う手術も可能です。仕事や家事が忙しい方はこちらの手術をお勧めする場合もあります。

再生医療のご相談もお受けしています

近年、医学の進歩に伴い目覚ましい発展を遂げているのが再生医療の分野です。整形外科領域も例外ではなく、自己の体性幹細胞を用いた治療が普及し始めています。
手術を勧められた場合でも、状態によっては再生医療を適応し状態が改善する可能性がございます。
当院に受診頂ければ最善の治療選択を検討し、再生医療のご相談、連携施設での治療も可能です。

PRP治療=多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)治療

PRP治療=多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)治療

特に注目を集めている治療がPRP治療です。主にアスリートの治療に使用されてきましたが、近年変形性関節症に対する応用が注目されています。自己血液の中から「血小板」を濃縮し患部に注入する治療で、中に含まれる多様な成長因子により「組織再生・早期治癒・疼痛改善」効果が期待されます。変形性関節症や、いわゆる四十肩・五十肩、テニス肘などにも有効で、今までの治療が無効だった場合も改善が期待できます。また、アスリートの外傷後の早期治癒やなどにも非常に有効です。

ADRC治療=脂肪組織由来再生幹細胞治療(Adipose Derived Regenerative Cells)治療

人間はもともと修復する能力を持っており、その能力の元になるのが幹細胞です。ADRC治療はより本格的な幹細胞を用いた細胞移植治療で、自分自身の脂肪にある幹細胞を使って組織再生を目指す最先端の医療です。膝関節内の炎症の軽減と、軟骨損傷の進行、変形性膝関節症の進行を遅らせる効果があるともいわれています。脂肪幹細胞の抽出に必要な腹部や大腿から脂肪を吸引し専用の機材で脂肪を洗浄したのちに酵素処理を加えて抽出した5ccの幹細胞を患部へ投与します。

膝関節・スポーツ診療グループ

リーダー  羽田晋之介

東邦大学医学部卒
順天堂大学整形外科・スポーツ診療科 非常勤助教
医学博士
総合格闘技「RIZIN」 医療部副部長
ラグビートップリーグ「キヤノンイーグルス」チームドクター
日本整形外科学会整形外科専門医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本医師会認定健康スポーツ医
Pre Hospital Immediate Care In Sport Level2

スタッフ 熊谷圭一郎

東北大学医学部卒

ページトップへ戻る