院長挨拶
病院長 森田 明夫
当院は1949年5月に設立され、本年で創立75周年を迎えます。独立行政法人労働者健康安全機構が全国に展開する労災病院の中でも、最も歴史ある病院の一つです。
設立当初の目的は周辺の京浜工業地帯で頻発する労働災害による疾病の治療でありましたが、時代とともに労働環境は改善し疾病構造も変化しています。現在では本来の主事業であった「勤労者医療」に合わせて地域の医療の中核を担うよう「地域医療」を診療の2つの大きな柱としています。
1. 勤労者医療の中核を担う
働く人々の職業生活を医療の面から支えるという理念のもと、予防から治療、リハビリテーション、早期職場復帰にいたる一貫した高度・専門的医療の提供を行い、労働政策の一翼を担っています。
特に勤労者医療においても予防医療の徹底は重要で、当院では人間ドックや脳ドック、一般健診に加えて、じん肺、アスベストなどの労災関連の特殊健診も行っています。
さらに当院は全国の医療機関に先駆けて、「治療と就労の両立支援」の事業を行ってきました。勤労者が仕事を続けながら治療を受ける、あるいは治療後に仕事に復帰することを支援します。現在、「治療就労両立支援センター」を併設しており、特に癌とメンタルヘルスに関しては全国の労災病院の中でも中心的な役割を果たしています。
2. 地域医療の中核として信頼される総合病院
地域の皆様に安全で質の高い信頼される医療を提供いたします。急性期医療、救急医療や癌診療に重点を置いています。優れた医療スタッフと最新の医療設備を備えています。
東京都から「地域医療支援病院」の指定を得て、近隣の医療機関と連携を図っています。地域包括ケア病棟も運用しています。
「東京都指定二次救急医療機関」として、24時間体制で救急医療に取り組んでいます。一刻を争う脳卒中や心疾患にも迅速に対応いたします。
「東京都がん診療連携協力病院」として、癌診療に力を入れています。高度な手術治療・抗癌剤治療に加え、高性能高精度な放射線治療装置を配備しています。
また近年は社会の高齢化に適応するよう在宅医療と密接な連携をとる地域包括医療にも力を入れています。地域住民の健康や医療を支えるコア施設としての役割を果たしてゆきたいと思います。
3. 災害拠点病院
「東京都災害拠点病院」の指定を受けています。近隣医療機関と連携しながら災害医療を行ってまいります。また能登半島地震などの甚大災害においては当院からも医療チームDMATを派遣し、緊急事態の医療支援を行っています。
4. 羽田空港から一番近い総合病院
国内外からの旅客の診療にあたっています。今後さらに積極的に海外からの患者を受け入れる体制を整えてまいります。また万が一の羽田空港での災害医療にも協力できる準備をしています。
当院の基本理念は「命の輝きを共有できる病院」です。患者さんや勤労者・地域の皆様の「命の輝き」、すなわち健康・生命を改善し維持することをめざしています。また職員全員の「命の輝き」もめざしており、職員の健康・生活を守り、働いて楽しい、働きがいがある、働くことに誇りを持てる病院を目標としています。
当院は今後も地域医療と勤労者医療のために職員一同努力してまいりますので、ご支援の程よろしくお願い申し上げます。
院長略歴
1982年3月 | 東京大学医学部医学科卒業・東京大学医学部脳神経外科にて研修開始 |
1989年4月 | 米国ミネソタ州Mayo Clinic 脳神経外科レジデント |
1996年1月 | 同Chief Resident |
1997年6月 | 米国ワシントン地区 George Washington大学 脳神経外科講師 |
1998年9月 | 東京大学脳神経外科 講師 |
2002年5月 | 同 助教授 |
2006年4月 | NTT東日本関東病院 脳神経外科部長 |
2013年1月 | 日本医科大学 脳神経外科 大学院教授 |
2019年4月 | 日本医科大学 大学院医学研究科長併任 |
2023年4月 | 日本医科大学 名誉教授 寺岡記念病院 高齢者健康医学センター長 |
2024年4月 | 東京労災病院 院長 |
専門分野
脳神経外科 脳腫瘍、脳血管障害
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