特色
呼吸器疾患は、感染症からアレルギー、腫瘍などバラエティに富んでいます。呼吸器系は外界と直接連絡しているため環境要因の影響を受けやすいという特徴があり、職業・環境起因性の疾患が多いというのも重要な点です。
呼吸器感染症や急性の呼吸不全は救急入院となる場合が多く、季節などによる変動はありますが、概ね35~40名の方が入院されており、平均在院日数は約15日間です。
呼吸器内科の第一の特色は毎朝8時から全医師ですべての入院患者さんを回診するということです。もちろんカンファレンスも行っていますが、毎朝の部長回診は患者さんに安心感を与え、患者さんの病状や訴えを医師全員で共有できるというメリットがあります。
診療上特に配慮している点は、呼吸器外科・放射線治療科と毎週合同カンファレンスを行って肺がんの治療方針を決めること、肺炎に対する適切な抗菌薬治療、急性呼吸不全の患者さんに対する非侵襲的人工呼吸、慢性呼吸不全患者さんに対する在宅治療(酸素療法や非侵襲的人工呼吸)、アスベスト関連疾患などの職業性呼吸器疾患に対する適切な診断・治療、身体障害者・労災保険などの社会的サポートの活用です。当院は労災病院としてアスベスト疾患センターを開設しており、健康診断部とともに呼吸器内科も深く係っています。
気管支鏡検査は超音波気管支鏡を用いて週2回行っています。CTガイド肺生検や喀血に対する気管支動脈塞栓術は放射線科にお願いしています。
またチーム医療の推進として、薬剤部(肺がん化学療法、抗菌薬治療など)との連携、MSWや栄養士、リハビリ科、細菌検査室などとの連携も重視し、また緩和ケアチームとしての活動も行い、患者さんの診療にあたっています。
呼吸器内科の外来患者数は1日約50名で、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎などの慢性呼吸器疾患、肺がん、睡眠時無呼吸症候群(CPAP治療)、じん肺・石綿肺などのフォローに加え、胸部X線写真での異常陰影の精密検査の依頼、アスベスト関連での検査や労災手続きの依頼、そして咳が続く・治療してもなかなかよくならないという患者さんも増加傾向にあります。長引く咳に対する治療も当科の得意とするところです。禁煙外来は、健康診断部において行っています。
忙しい日常診療の合間を縫って学会、論文発表もできるだけ行うよう心がけています。2017年はアジア太平洋呼吸器学会において「良性石綿胸水は如何に進行するのか」、2018年、2019年はヨーロッパ呼吸器学会において「肺炎で入院した高齢者の死因と危険因子」、「職業性粉塵吸入によるMPO-ANCA陽性間質性肺炎」を報告しました。
また「大田区にかつてあった石綿工場周辺住民の健康影響」について継続的に研究を行っています。その関連で工場周辺に住んでいた区民のフォローアップ健診も継続しています。
当院は日本呼吸器学会、、呼吸器専門研修基幹施設、日本呼吸器内視鏡学会の教育認定施設となっています。
診療実績(疾患別入院患者数)
年度 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
2020 |
退院患者数 |
742 |
742 |
703 |
771 |
586 |
肺炎 |
295 |
264 |
286 |
277 |
144 |
肺がん |
234 |
267 |
235 |
253 |
215 |
中皮腫 |
9 |
5 |
11 |
21 |
25 |
気管支喘息 |
31 |
30 |
23 |
21 |
6 |
COPD |
80 |
76 |
97 |
84 |
54 |
間質性肺疾患 |
50 |
61 |
32 |
68 |
39 |
じん肺・石綿肺 |
2 |
3 |
4 |
10 |
4 |
気胸 |
22 |
17 |
9 |
19 |
14 |
睡眠時無呼吸症候群 |
15 |
17 |
16 |
11 |
9 |
胸膜炎、膿胸 |
17 |
15 |
8 |
17 |
3 |
COVID-19 |
― |
― |
― |
― |
66 |
人工呼吸施行 |
35 |
30 |
23 |
6 |
2 |
死亡数(剖検数) |
67(4) |
65(2) |
66(3) |
76(3) |
31 |
気管支鏡件数 |
82 |
71 |
84 |
116 |
116 |
(2021年4月現在)在宅酸素療法施行患者61名、CPAP204名
スタッフ紹介
外来担当医一覧はこちら
名前 |
河野 正和(こうの まさかず) |
職名 |
呼吸器内科部長 アスベスト疾患センター長(兼) 呼吸器センター副センター長(兼) |
学歴等 |
平成9年千葉大学卒 平成19年千葉大学院医学薬学府卒 医学博士 |
認定医 |
日本内科学会 International society of travel medicine CTM がん治療認定医 |
専門医 |
日本内科学会 日本呼吸器学会 日本呼吸器内視鏡学会 |
指導医 |
日本呼吸器学会 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡指導医 |
名前 |
松村 琢磨(まつむら たくま) |
職名 |
第二呼吸器内科部長 |
学歴等 |
平成21年 千葉大学卒 平成29年千葉大学院医学薬学府卒 医学博士 |
認定医 |
日本内科学会 |
専門医 |
日本内科学会 日本呼吸器学会 日本呼吸器内視鏡学会 日本睡眠学会 |
指導医 |
日本内科学会 日本呼吸器学会 |
名前 |
鈴木 英子(すずき えいこ) |
職名 |
呼吸器内科医 副部長 |
学歴等 |
平成24年富山大学医学部医学科卒 令和4年千葉大学院医学薬学府卒 医学博士 |
認定医 |
日本内科学会認定内科医 |
専門医 |
呼吸器内科専門医 |
名前 |
伊藤 幸祐(いとう こうすけ) |
職名 |
呼吸器内科医師 |
学歴等 |
平成28年 千葉大学卒 |
専門医 |
日本専門医機構 内科専門医 |
名前 |
堀 礁太(ほり しょうた) |
職名 |
呼吸器内科医師 |
学歴等 |
令和2年 産業医大卒 |
名前 |
堂脇 崇弘(どうわき たかひろ) |
職名 |
呼吸器内科医師 |
学歴等 |
令和3年 大阪医科大学卒 |