脳神経外科
脳神経外科手術・治療相談外来 設置のお知らせ
診療体制
外来・救急外来
脳神経外科医5名で診療しています。
外来では大学からの非常勤医師や以前当院に勤務していた医師も診察にあたっています。
木曜日(手術日)以外は毎日外来があり、予約優先ですが予約外の当日受診も受け付けています。
外来診察室は脳神経外科と脳神経内科が同じブースとなっており、脳の病気に関してよりスムースに専門的な診察が可能となっています。
慢性の頭痛やてんかん(小児期からのキャリーオーバー含む)なども診療しています。
近隣医療機関からの紹介、救急搬送は外来時間外も随時対応しています。紹介状がなくても受診は可能ですが、紹介状がないときは初診時選定療養費が加算されます。ご自分で時間外や休日の診察を希望される際は、来院される前に病院へ電話連絡し診察可能か確認してください。
入院
脳神経外科の病気やけがは入院し検査、治療することが多くなります。
それぞれ担当主治医は決まっていますが、脳外科医全員で毎日診察し治療方針を決め治療にあたっています。看護師も1日3交代で担当が決まっています。薬剤師やリハビリスタッフ、メディカルソーシャルワーカー、事務員、技師、看護助手なども入院期間中は近くにいます。分からないことや気になることがあればどうぞ遠慮せず病院スタッフに聞いてください。
診療体制 疾患 診療実績 スタッフ紹介<対象となる主な疾患
脳卒中・脳血管障害
地域の拠点病院として急性期医療に力を入れ、24時間365日、脳神経外科医、神経内科医が脳疾患患者を診療しています。特に「脳卒中に強い病院」として、脳梗塞に対する血栓溶解療法(t-PA)、カテーテルによる血栓回収療法、くも膜下出血に対する脳動脈瘤クリッピング術、コイル塞栓術など、すべての脳卒中患者に対し緊急治療が行える体制としています。脳血管障害に対する開頭手術、血管内手術(カテーテル治療)は手術数も多く、患者さんの状態に合わせ、負担が少なく長期成績もいい治療法を選択しています。近年は脳ドックなどで頚動脈狭窄症、脳動脈瘤や脳動静脈奇形などがみつかり、治療すべきかどうか迷われる方も増えています。そのような場合の相談やセカンドオピニオンも随時受けつけています。
脳卒中(脳血管障害)は、世界中でみると死亡原因の2番目ですが、日本では4番目です。医療の進歩とともに死亡率は減少していますが、突然発症し後遺症を残す病気であり、要介脳卒中(脳血管障害)は、世界中でみると死亡原因の2番目ですが、日本では4番目です。医療の進歩とともに死亡率は減少していますが、突然発症し後遺症を残す病気であり、要介護となることも多い疾患です。脳卒中予防のためには血圧管理、血糖管理、禁煙、運動などが重要です。
脳腫瘍
脳腫瘍には手術で治る腫瘍(髄膜種、下垂体腺腫など)と、手術後に化学(薬物)療法や放射線治療が必要となる腫瘍(神経膠腫など)があります。当院では病変の位置を知らせる術中ナビゲーションシステム、脳神経の機能を確認する神経モニタリング装置を使用し、脳の機能を温存する安全な手術を行っています。脳腫瘍に関しては後遺症が少なく、再発も少ない治療をお勧めしています。脳の重要な領域の腫瘍では、意識のあるまま無痛で手術する覚醒下手術も行っています。腫瘍摘出術前には腫瘍を栄養する血管を塞栓物質で閉塞させることも多くなっています(腫瘍血管塞栓術)。手術時の出血量が減り、腫瘍組織も一部壊死するため摘出操作が安全になります。放射線治療は最新の放射線照射機器「True Beam」が導入され治療を行っています。脳腫瘍の化学療法も新しい薬が使われだし、治療経過も改善しています。また、良性腫瘍で症状のない場合は手術が要らないことがほとんどですので、経過観察し定期的にMRI等で確認することを勧めています。他の臓器の癌が脳に転移することも多く、以前はあまり治療がされませんでした。しかし近年は、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤により癌の経過が非常に良くなっています。脳に転移した場合でも摘出手術や放射線治療で経過が改善することも多くなっています。
三叉神経痛・顔面痙攣
三叉神経痛や顔面痙攣は顔面の激烈な痛みや、ひどい目や口角のピクつきで生活の質を著しく損なう疾患です。神経血管減圧術という「Keyhole surgery」いわゆる極めて小さな骨の穴から行う手術で三叉神経痛や片側顔面痙攣を根治手術することが多くの症例で可能です。治療を受けることで、元の生活を取り戻すことのできます。ここでは、これらの疾患の詳しい病態と治療方法等について、解説していきたいと思います。
三叉神経痛 の症状
顔面に電気が走るような激しい痛みが比較的短時間、繰り返して起こります。範囲は頬から顎の痛みが多く、食事や洗顔などで痛みが誘発されることもあります。
片側顔面痙攣 の症状
はじめは片側眼瞼周囲のけいれんに始まり、徐々にけいれんの頻度が増して、口角へと広がります。
原因
三叉神経や顔面神経が脳血管や腫瘍によって圧迫されることで起こっているものが多く、特に血管の圧迫が原因のことが多いです。 加齢によって屈曲蛇行した血管が、神経を圧迫するようになると考えられています。
治療
三叉神経痛にはカルバマゼピンやプレガバリンなどで治療を開始しますが、徐々に効果が減弱したり、薬の副作用でふらつきが出たりすると継続困難となります。また三叉神経痛に対してはブロック治療が行われることがありますが、効果が半年程度で減弱します。
片側顔面痙攣にはボトックス注射も行われますが、効果は一時的で、顔面麻痺や筋委縮を引き起こすことがあります。
根治治療としては、神経圧迫の原因血管を移動させる微小血管減圧術(神経血管減圧術)があり、90%以上の患者さんに効果を認めています。
手術は耳の後ろに4cm程度の皮膚切開を置き、10円玉程度の穴から手術を行っています。
合併症は少なく、術翌日には病棟で制限のない生活が可能です。
東京労災病院 脳神経外科では、低侵襲治療を第一に掲げ、患者さんの体の負担を抑え最大限の治療効果を発揮すべく、内視鏡、顕微鏡を駆使して治療を行っています。
森田院長は、当手術を日本に広められた故・福島孝徳先生の直接の弟子であり、これまで、神経血管減圧術を数多く行ってきており、良好な治療成績を収めています。当院での本手術では森田が監督するか実際に手術にあたります。現在は、これまでの顕微鏡に内視鏡を組み合わせることでより低侵襲かつ高い治療効果の得られる治療となっています。
「顔面の痛み」や「顔面のピクピクとした痙攣」でお困りの方、ぜひとも東京労災病院 脳神経外科外来にご相談ください。
頭部外傷
交通事故や転倒・転落などで頭を強打した場合、頭蓋内に出血し緊急手術を要することがあります。頭蓋内の出血量が多いと、血腫が脳を圧迫し脳圧が高くなり、脳損傷により亡くなることもあります。脳を包んでいる硬膜の内側に出血した場合は急性硬膜下血腫、硬膜と頭蓋骨の間に出血した場合は急性硬膜外血腫といいます。脳実質が損傷され出血した場合は脳挫傷といいます。緊急に開頭血腫除去術を行います。
また、頭部打撲やしりもちなどの軽微な外傷から1,2か月後に脳と硬膜の間に血液が溜まってくることがあります。慢性硬膜下血腫といい、血腫が多い場合は頭蓋骨に穴をあけチューブを入れ血腫を排出させる穿頭血腫除去術を行います。
頭痛
頭痛はよくある症状ですが、痛みの程度は強く適切な診断と治療が重要です。
片頭痛は女性に多く、30代、40代女性の4人に一人、高校生でも10人に一人は片頭痛があります。病院で処方される薬とほぼ同じ成分の鎮痛剤が薬局でも買えるようになっていますが、薬を飲みすぎていると薬剤使用過多による治療の難しい頭痛になります。また、ただの頭痛と思って自分で対処していても、脳腫瘍や脳動脈瘤などが原因で生じている頭痛のこともあります。頭痛は種類も多く、治療法も異なってきます。2021年には約20年ぶりに新しい片頭痛の薬が使用できるようになりました。頭痛の続いている方は一度専門的な診療を受けられることをお勧めします。
対象となる主な症状- 頭痛
- てんかん、けいれん
- 脱力や麻痺
- 手足や顔の痺れ
- ふらつき、歩行困難
- しゃべりにくい、飲み込みにくい、むせる
- めまい物が二重に見える、視野が欠ける
- 瞼が下がってきた
- 瞼や顔のぴくつき、けいれん
- 物忘れ
- 頭を打った
脳から起きる症状はさまざまです。心配な症状がありましたら外来受診をお勧めします。
診療体制 疾患 診療実績 スタッフ紹介診断実績
手術件数
疾患・手術 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|
脳動脈瘤クリッピング(未破裂) | 6 | 1 |
脳動脈瘤クリッピング(破裂) | 6 | 9 |
脳動脈瘤コイル塞栓術(未破裂) | 3 | 2 |
脳動脈瘤コイル塞栓術(破裂) | 4 | 2 |
脳動脈瘤フローダイバーター治療 | 0 | 5 |
脳出血 開頭血腫除去術 | 15 | 10 |
脳出血 脳室ドレナージ | 10 | 8 |
脳動静脈奇形 塞栓術 | 2 | 2 |
脳動静脈奇形 摘出術 | 2 | 1 |
頭蓋外内血管バイパス術 | 5 | 5 |
頚動脈内膜剝離術 | 1 | 1 |
頚動脈ステント留置術 | 9 | 14 |
脳梗塞急性期再開通療法 | 9 | 12 |
経皮的血管形成術 | 2 | 3 |
硬膜動静脈瘻塞栓術 | 0 | 1 |
脳腫瘍 血管塞栓術 | 1 | 1 |
脳腫瘍 摘出術 | 5 | 6 |
慢性硬膜下血腫 穿頭血腫除去 | 44 | 38 |
急性硬膜下・外血腫 開頭血腫除去 | 4 | 9 |
水頭症 髄液シャント術 | 7 | 5 |
頭蓋骨形成術 | 10 | 6 |
微小血管形成術 | 2 | 0 |
その他 | 4 | 3 |
合計 | 151 | 144 |
スタッフ紹介
名前 | 加藤 宏一(かとう こういち) |
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職名 | 脳神経外科部長 |
学歴等 | 平成8年札幌医科大学卒、医学博士 |
指導医 | 日本脳神経外科学会指導医、日本脳神経血管内治療学会指導医、日本脳卒中の外科学会技術指導医、労災補償指導医 |
専門医 | 日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会認定脳卒中専門医、日本頭痛学会専門医、日本抗加齢医学会専門医 |
その他 | 日本DMAT隊員統括DMAT、エマルゴ国際シニアインストラクター、身体障害者福祉法第15条指定医、臨床研修指導医、産業医 |
名前 | 中村 友宣(なかむら とものぶ) |
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職名 | 脳神経外科医師 |
学歴等 | 平成30年昭和大学卒 |
名前 | 名取 郁哉(なとり いくや) |
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職名 | 脳神経外科医師 |
学歴等 | 令和2年昭和大学卒 |
名前 | 中村 彰宏(なかむら あきひろ) |
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職名 | 脳神経外科医師 |
学歴等 | 令和2年昭和大学医学部卒 |
名前 | 森田明夫(もりた あきお) |
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職名 | 脳神経外科顧問・医師 病院長 |
学歴等 | 昭和57年東京大学卒、医学博士 |
指導医 | 日本脳神経外科学会指導医、日本脳卒中の外科学会技術指導医 |
専門医 | 日本脳神経外科学会専門医、米国脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会認定脳卒中専門医 |
その他 | 日本脳神経外科学会特別会員、日本脳卒中学会特別会員、アジアオセアニア脳神経外科学会副理事長、神経内視鏡技術認定医、聴神経腫瘍研究会認定医、日本脳ドック学会理事、臨床研修指導医 |
(令和6年6月1日現在)